ザ・影 第2話 プロゴルファー 八木沢 保の場合

第1話 中年管理職 松田 隆の 場合

影、人間に在る影 動物も 花も 木も 必ずある その影は本当に貴方の影ですか?

これは  1話完結の 影の物語です。

第2話 プロゴルファー 八木沢 保の場合

バシ~ン 青空に ゴルフボールが 飛んで行く

ナイスショツト~観客席から 声が沸き上がる

男子プロ埼玉オープーントゥナメントが 開催されていた

優勝賞金6000万円と高級スポーツカーが掛かっていた18番ホール

前回3位の八木沢と準優勝牧田の最終ホール

一騎打ちになった

  

スコァは 7アンダーで並んでいた 

八木沢残り3メートル

牧田残り50cm

先に牧田が打つ

ボールは カップをかすめて 外れた 

惜しい~観客席から声が 響く

八木沢が 入れれば

バーディーで8アンダーで優勝

牧田の優勝は なくなる

(これをカップインすれば 俺の勝ち)

慎重に芝目を読む そして打つ 

八木沢のボールが芝生の上を 流れるように 転がっていく

見事カップイン

思わず「やったぜ~」

八木沢の雄たけびが 牧田の耳に響いた 

優勝インタビューで アナウンサーが

「これで 今年8勝目ですね 賞金王も独走態勢ですね」

八木沢は

「今の私に負ける要素は ありませんからね~」

と強気の発言が テレビ中継で流ていた

帰りの車の中

「牧田も50cm外す様では いつまで経っても優勝出来んな ハハハ」 

車の後部座席で 運転手に 話しかけた

八木沢は 後ろの左側に座っていた 

左から西日が差していた 八木沢の影が 

隣の右座席に在った 八木沢がタバコに火をつけた

その時

「誰のお陰で優勝出来たと思っているんだ?」

耳に男の声が聞こえた

「うん?」

「運転手君 何か言ったかな?」

「いえ!私は何も言ってませんが?」

「おかしいな聞こえたが」

 やがて 2億円の豪邸に着いた

「やれやれ 今年も賞金王は 頂だき だなワハハハ」

「その慢心が 命取りになるぞ!」

又聞こえた声に 「だれだ?」

「俺だよ お前の 影だよ」

驚く八木沢

「影がしゃべる?そんな馬鹿な!俺は信じないぞ ただの空耳だ」 

八木沢は疲れから 幻聴が 聞こえたと思い

睡眠に良い ハーブティーを飲んで寝た

「昨日は 変な夢見たな! 

周りの人々に感謝しろだと 俺の実力だぜ」 

明日も優勝頂きだ

仙台で行われる マンボビール杯に エントリーしていた

賞金3800万のトーナメント大会

「さ!今日も軽く賞金頂くか」

6番アイアンを数回素振りして

ピンに置かれたボール目掛けてアイアンを振り下ろした

その時八木沢の影が不気味に笑った

次の瞬間八木沢の手から

アイアンが 観客席の方に 飛んで行った 

ギ~ャ~ッ 悲鳴が聞こえた 誰か救急車を~

お客さんが怪我して 大騒ぎになった

当の本人 八木沢は 動揺して

この試合を放棄した

この事件後 八木沢は 全く どの試合も 振るわず

ランキングも 60以下に落ちていた

世間では 八木沢は もう駄目だな!

引退と違うか?等 世間から忘れられて行った

特にスポーツ選手は 

周りのサポートが無いと第一線で 活躍出来ません

八木沢プロは支えてくれている 人々に感謝しづ 

自分に慢心している 心を影が警告したのです

  

                              第2話 終

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