(この物語は 事実に基いて 一部脚色 構成してあります。)
池袋にある 新車ショールーム 朝のミーテングが 始まっていた
所長の訓示 続いて課長の 今月の目標等
営業マンの一日が 始まる
「高野君 チョツト」
営業の高野が 課長に呼ばれて 部屋に入って行った
同僚の牧田が 星野に
「高野 先月 成績悪かったな また 課長の嫌味だぞ」
「そうだな」
星野は言いながらパソコンを見て
「顧客の 柿本さん 来月車検か、長く乗られて居るから ボチボチ新車に乗り換えて貰おうかな」
ドアが開き 高野が 出て来た
(フーッ)大きく溜息をついて
デスクに座った
牧田が 「気にすんなよ」 声を掛けた
高野は 「課長に軽自動車の 中古販売なら7~10台は売れるだろうと 言われたよ 俺 配置換えかな?」
星野は心の中で
(高野 子供が生まれたばかり だからな~4~5台高野に譲ってやるか 俺は今月も目標以上売れる予定だから)
「高野 俺の分4~5台譲るから 心配するな 課長に今月頑張りますと 言ってこい」
「え!星野いいのか」
笑いながら 「ああ、お前とは 大学時代から 同期だからな 貸しにするよ」
星野の言葉に
「悪いな~いつか返すな」
「お互い様だから いいさ 俺は独身だし 気楽だから」
さて 営業に 行こうかな 星野は 車に乗り込んだ
星野は 長年の顧客 柿本宅に来ていた
「星野君 今日は 新車の売り込みかね」
柿本の指摘に
「そうですね 確か来月車検でしたので 今評判のSUVの カタログをお持ちしました」
「おお!これか いいね~」
話は とんとん拍子に進み SUVを 売り込む事に成功
「ところで 星野君 温泉は 行くのかね?」
「あ、はい 近くのスーパー銭湯なら 何度か」
柿本は笑いながら
「スーパー銭湯? 駄目だよ 本物の温泉で無ければ」
「私が 良く行く 北陸に 悶絶温泉と言うのが 有るから 一度行って見たら 1万円の優待券あるから」
差し出した 優待券を 見た星野は 途端に 鳥肌が立った
「こいつは 何かあるな」
柿本さんに お礼を言い
営業所への帰り道 昼食に寄る
ランチを待ちながら 悶絶温泉優待券を見る
「悶絶て 凄い名前だな ヤバイ所かもな」
「休みだから 高野でも 誘って 悶絶温泉でも 行くか」
営業所に 着いた星野は さっそく 高野に話し
「お!一万円の優待券いいな~ いくいく」
喜ぶ高野 「奥さんと子供も連れて行くか?」
「いゃ~たまには 家族なしで」
「そうか 明日な 8時に俺の マンションでな」
「分かった車と言い 温泉と言い悪いな~ 星野に感謝しかない」
翌朝 8時
「行こうか 東海北陸道を 通れば 近いからな11時頃には 着くな」
星野は自分の 車を走らせた
ブオオオ~
途中賤ケ岳のSAで 休憩を
「お!飛騨牛の串焼き売ってるぞ 食べるか」
高野が
「俺は 営業には 向いてい ないかもな」
「そんな事ないだろう!結構車 売っているだろう」
「お前や皆ほど ではないしな」
串焼きを食べながら 少し深刻な話に成った
「親父が 土建屋してるんだが 歳だからな 辞めて田舎に帰ろうかと 思っているだ」
高野の言葉に
「親父さんの跡を継ぐのか」
星野は それも 高野の人生だから と思い高速をとばした
やがて 北陸温泉郷に 到着
「サー着いたぞ 温泉はどこかな?」
「おお!ここか 中々風情があるじゃないか」
ホテルは 昭和の建物であった 受付を済ましして 部屋に 向かう
高野が
「まぁまぁじゃん 昼食付で 温泉入れて 一人5、000は 安いすよ」
「そうだな昼食まで 時間あるから温泉入るか」
廊下の端にある 階段を下りて 風呂場に向かう
ガラガラ~ 扉を開ける
二人して
「お~悶絶しそうな 温泉だ」
笑いながら中に
うち風呂は 広いヒノキで 造って有った
「いいね~ヒノキの香りは」
「ああ、そうだな~」
星野は ふと 外の露天風呂を 見た
高野が「俺 野天風呂に入るわ」と露天風呂の方に
星野が もう一度露天風呂を 見た時 湯の中に 怪しい影が
「高野 待て」
星野の声に 振り返る高野
その時黒い影が高野に 覆いかぶさった
ザ~ブ~ン高野の体が 温泉に引き込まれた
「高野 大丈夫か!」
すると 湯の中から 影が姿を現した
「く、く、く、こいつは 溺れて死ぬのさ
不気味な笑い顔の霊
「お前は何者だ」
星野の声が 風呂場に 響き渡る。
第6話 終