横浜中華街 久しぶりに 馴染みのスナックに 来ていた 野球選手 現役時代 よく来た店であった
「あら~たっさん 久しぶりね!元気なの?」
店のママから 声を掛けられて
「うん!何となく生きてるよ」
笑いながら 答える竜田
すると ママが
「皆この人が 元大巨人のエースだった 竜田さんよ」
お~凄い パチパチ拍手が 響く
竜田は 照れながら 手を上げて
「昔の事ですから」
お客さんから
俺はアンタの ファンだったよ もう一度あの 剛速球見たいな
イャ~あの球は 島長ゃ 丸王でも 打てないだろうな~
引退が 早すぎだよ
ワイ ワイ ガャガャと 話が弾んでいた
ママが「そう言えば たっちゃん 私立探偵してると 聞いたけど?」
「ああ、貧乏探偵稼業だよ」
「丁度いいわ 頼みが有るのだけど」
「頼み?珍しいね ママが 頼み事なんて」
グラスを 傾けながら
「頼みって?」
ママは ボトルに手を掛けながら
「店が終わったらね!」
スナック マンボバカ~ンも やがて閉店に成り
二人で 違う店で 飲み直す事に成った
「私いい店知ってるのよ」
タクシーを呼び止め
ブオオオ~
店に向かう
「ママの知り合いの店なのか?」
「そうよ 昔からの付き合いで 彼女はハーブティー占いで 良く当たるのよ」
「お茶で 占い そりゃ面白そうだな」
キイ~ 店の前で タクシーから 降り 店に入る
「ケイコママ いらしゃい あらこの方が 竜田さんね」
どうぞよろしくと 出された名刺に目を 通した竜田
名刺には ハーブ占い師 ドミンゴ香と書いて有った
どうやら ブラジルとのハーフと後から聞いた
「背が高くてカッコイイお兄さんね」
ドミンゴ香が ビールを継ぎながら 竜田を 見つめていた
「香ちゃんは イイ男に弱いんだから」
笑いながら ケイコママが 竜田に
「相談なんだけど 絶対内緒よ」
「分かってるよ」
その時 竜田のスマホが 鳴った
「チョット失礼するよ」
席を立つ
「もしもし竜田君」
その声は 城南医師会会長 権藤だった
「竜田君 前回は有難う いい仕事だった」
「権藤さん 俺に何か用が あるのかな?」
「ふふふ、察しが速いね 実は 又頼みたい案件が有るのだが 引き受けて貰いたいのだが!」
「明日 例の料亭に 10時に来てくれないか 内容はその時に話す」
「いいでしょう 了解しました では 10時に」
席に戻った竜田
香が
「何に、彼女からの電話?」
ケイコママが
「たっちゃん 相談だけどね 実は売掛金回収出来ないのよ 何とかしてほしいのだけど」
竜田は
「ほう、どんな奴なんだ」
ママが 声を潜めて
「実は 国会議員の 大臣山崎たろう の秘書 村上武佐男なの」
村上武佐男は 大臣山崎の秘書で 良く マンボバカ~ンに 飲みに来ていた
横暴な男でセクハラ 暴言など店でやりたい放題であった
「ふ~ん 大臣の秘書か! 売掛は いくら位あるの?」
「それが 100万近く有って こちらも 苦しいじゃない 何とかならない?」
そうだな~
「分かった 何とか考えてみるよ ママの頼みじゃ 断る訳にもいかんでね」
「わ~有難う頼りになるわ~」
翌日 権藤の 馴染みの料亭 赤坂千舞鶴に 赤いスポーツカーで 乗りつけた
女将が権藤の部屋に 案内して 襖を開けた
「おお!竜田君 朝から悪いね」
権田は ご機嫌で 竜田を 迎えた
「医師会の会長さんが 俺に相談とは?」
(まぁ そう慌てるな 一杯どうだ)
「朝から 酒は飲まない主義だから お断りするよ」
「そうか では 遠慮なく俺は頂くよ」
権田が 「実は 頼みは 有る政治家を 消して欲しいのだが どうかね?」
「政治家を消す それは ヤバイ話ですね」
「引き受けてくれたら 今回は10億出そう おまけに現金で 引き受けてくれるかな?」
10億イイ話だが
「まず、相手の名前を聞こうか」
「厚生大臣の 山崎たろうだ こいつ 医師会を無視して 診療報酬を 引き下げると言いやがる
我々医師会 を 馬鹿にしてやがるからな」
顔を 真っ赤にして 喚く権藤
「山崎の秘書が 色々と 大臣に焚き付けているから こいつも消してくれ」
村上武左男か 「なるほど引き受けよう」
「おお!引き受けてくれるか さすが 殺しのライセンスを持つ男だ!」
急に上機嫌に成り 前金の5億を 口座に振り込むと
竜田は 大臣の山崎 その秘書の村上 二人の 殺しを引き受けた。
第3話 終