「お姉ちゃん、お姉ちゃん~」 「うーん?、なに?」
「何じゃないでしょう?遅刻するよ!」
「げっ!」 慌てて、目覚まし時計を見る。「ヤバイ じゃん!」
「だから、さっきから起こしてるじゃん?」 「それー」 慌てて服を着て、下へ。
母親が 「何してたの!最近、夜寝る時間が 遅いのじゃない?」
そんな言葉を聞きながら、玄関へ急ぐ。 「行って来ます!」
「全く、しょうがないね!」と、ぼやきながら 新聞に目を通す。
昨年長野県で、一家四人と一匹の犬が突然、 跡形も無く消えた事件が
早くも1年過ぎてしまった。 と、三面記事にあった。
ここ半年位の間にも、似た様な事件が 6件も続いていた。
学校帰りに、親友の由美と恵梨が、
「ね!明日から三連休だから、どこかに 行かない?」
「それより、近くのマンガ喫茶で、 インターネットやろうよ!面白いよ。」
「恵梨、出来るの?」三人は制服のまま、マンガ喫茶に入って 行った。
「あのパソコンで、やろう!今は マッチング アプリで 男を探す時代よ」
魔衣と由美は、今までパソコンは学校の 授業でしか、した事がなかった。
「本当に出来るの?」 「まかしやー、天才・恵梨に!」
パチパチとアドレスを打ち込み、出会い系 サイトにアクセス。
「ほーらね?」 「うそ!男メチャ イケメンじゃん」
「知らないの?パソの出会い系は、スマホより 凄いんだから」
「へー!!」 二人は恵梨の説明に驚いた。 「こうやるとね!」
パチパチとキーボードを叩くと、相手の 男性の写真・趣味・希望相手などが、
画面に現れた。 さらに、相手が今チャットできるか、出来ないかの
アイコンまで出ていた。 もちろん、携帯の番号も・・・
「お!この人、チャット状態だ!」
恵梨は慣れた手つきで、キーを打つ。するとすぐに相手から返事が、画面に現れる。
「すごーい!」 画面には女子大生なら、付き合ってもいいと 書いてある。
「ね!女子大生にしとこうか?」 「だめだよ。そんなこと!」
「いいから、任せなさーい」と恵梨は、チャットに
「お金が無いんだけど?」 と打ち込んだ。すると、相手からすぐに
「5万円なら、持っているよ」と返事が来た。
「どう!魔衣、由美?」
「いや!どうせHな事する目的でしょう?」 恵梨は 「残念だな」 と言いながら、
TOPページへ、ニュースの欄に 目を止めた。
魔衣は、「あ!それ、そのニュース。 チョツト見せて!」
それは最近多発する、謎の 蒸発事件であった
「うーん。不思議な事件だよね?」 「神隠しじゃないの?」
インターネット上に、今まで起こった謎の 蒸発事件が、詳しく公開されていた。
「ただいまー」 「遅かったね!クラブ忙しいの?」
「うーん、まぁそんなとこ!」 まさか母親に出会い系 見てたとわ言えない。
魔衣は曖昧な返事をして、階段を上がり 自分の部屋に。
朝から、なんだか眉間が痛い様な感じがしていたが、ますます
痛みが 強くなってきた。 「ウーン、痛い~あぁ~」
ベットでのたうち回る魔衣。 やがて、 その痛みが頂点に達した時、
魔衣の眉間 から光り輝く閃光が、空中に銀河宇宙を
映し出した。「え!これ何?宇宙?」
そこには太陽をはじめ、銀河宇宙が 部屋一杯に広がっていた。
「これは!・・・」見とれている。
魔衣の前に、一つ輝く恒星が近づいて来た。突然、強烈な光を放つ恒星。
「うーまぶしい!・・・・・なに?この光は」
「お姉ちゃん!お姉ちゃん?」かすかに、 妹の声がする。
「もう、居眠りしている場合じゃないよ」 魔衣は目を開けたが
まだはっきり しなかった。
「お姉ちゃん 寝ぼけてると、話してやらないから!」 「うん、ごめん。」
妹が、「お姉ちゃん、パパが 新しいパソコン 買って夜、持って来るって!」
魔衣は目を丸くして 「え!ホント。やった~」これでパソコンができるぞ。
妹の小学校でも、今は正規の授業で パソコンを習っていた。
「お姉ちゃん、楽しみだね。」 「うん!私が先だよ!」
「エ~ッ! そんなのずるい。 ジャンケンだよ?」
またまた、お決まりの 姉妹喧嘩が始まった。 「ただいまー」
やがて大きなダンボール箱を 持ったパパが、帰って来た。
「お!来た来た。お帰り~」
「ねぇ、パパ。早く設定して、やろうよ?」 「待て待て。説明書を読んでからだ」
なんて言いながら、その夜は 出来ませんでした。
「よーし!明日は必ず出来るようにする」
ママが「中年のおじさんが、無理じゃないの!」 と冷ややかな目で、見ていました。
「イカン。やっぱり 明日にしよう。」
二人は「あーあ、やっぱパパでは駄目か?」ガッカリしながら
自分のベットに潜り込む うとうとし出した。(む!気配が)
その時、”コンコン”窓ガラスを叩く音が!「魔衣、起きているか?」シバの声が、
「うん!起きているよ どうしたの?」 窓を開けると、シバが部屋に入ってきて、
「最近、不思議な蒸発事件が 多くあるじゃろう?」 「うん」
「実は報道されていないのだが、長野県にも 蒸発事件があるのじゃ」
「すぐ近くじゃん」 「おう!そこで明日、その事件があった家に 行って見ないか?」
「いいよ!」 話は決まり、翌朝ママに友達の家に行くと、言い残して
シバと共にテレポートで、 長野県飯田市に来ていた。
飯田市はりんごの産地で、天竜峡舟下りなど 近くには昼神温泉郷がある。
「ね!何処の家?」
昼神温泉郷から、少し中央高速道路沿いの、寂しい場所に建つ一軒家であった。
「ここだ、ここだ!」 確かに庭や建物から、人がすんでいる 生活感が まつたくしない。
「誰もいないのかな?」 「中に入って、見るか」
家には警察の入室禁止の テープがしてあり、テレポートで中へ。
家の中は 事件当日そのままの状態で、保存されていた。
「この状態だと、争った跡は無いな!」 「うん。二階を見てくる?」
魔衣は階段を上がり、二階の子供部屋を ぐるりと見まわし、
”フ!”と 勉強机の片隅に、一枚の写真が 置かれているのに
気づき、何気なく見た。それは、雪山をバックに一家四人が写っている
写真で あった 「うん!これは?シバ、ちょっと来て」
「どうした?」 シバに写真を見せながら、「ここに写っている物、何かな?」
「うーん、どれどれ」 と言いながら、シバが見ていたが
「魔衣、これだ。小さく写っているが、間違いない 妖獣だ!」
「え!ほんとう?見せて」
よく見ると確かに、四人の後方推定 30メートル位の位置に、
小さくでは あるが何者かが写っていた。
「これか~最初、何かな?と思ったけど」
「魔衣、この写真、どこの山か分かるか?」写真の表には何も書いてなかったが
裏に 「駒ヶ岳山頂にて」 と書いてあった。 「駒ケ岳になっているよ」
「よし、駒ケ根なら 近い行こう!」
シュルシュル~ テレポートで駒ケ岳の 山頂付近に・・・
「この辺だが、写真を写した場所を探せ」 「了解!」
そんな魔衣達の姿を、山頂から見つめる 鋭い4つの目があった。
「ふふふ、獲物が餌に喰い付いて来たぞ!」 「ああ!あの写真が、罠だともしらずにな」
「おろかな奴らだ!ワハハハ」 不気味な笑い声が こだまする。
不気味な笑い声は、妖獣ケラビン兄弟であった。
「さて、兄じゃ。 どう料理する?」
「弟よ、油断するな。小娘、 数々の我らの 仲間を倒してきたからな]
[相当手強いはずだが 我ら二人の 恐ろしさには 勝てまい]
そんな兄の言葉に
「ワハハハ、我らケラビン兄弟に 勝てる奴が人間にいる
もんか? 今、此方から仕掛けて殺すか!」
「まー落ち着け。戦いは頭も使わないとな!しばらくすれば、向こうから罠に掛る」
「魔衣、どうやらここらしいな?四人が 立っていた場所は」
「と言う事は、ここから30メートル位、後ろだね。」 歩いて、その場所に行く。
「ウワーッ」 ”ドスン” 「どうしたの?シバ」
「こんな所に 透明の バリヤーが張ってある 魔衣油断するな」
魔衣はすぐ スーパーアイに 切り替え周りを見た。
「本当だ。バリヤーが向こうまで、張り巡らされている」
「魔衣、このバリヤーを突破できるか?」 「うん 穴を開けるね!」
クラシャービームでバリヤーに穴を開ける。”グワシャーン”
(簡単に破れた?おかしい?)魔衣は 罠かもとシバに言った
「よし、ここまで来てるからな 罠でも行くぞ!」 奥に進みながら、
「魔衣、 油断するな・・・」
魔衣が妖気を感じた途端に、頭上から 閃光が向かって来た。
「くっ!」 一瞬早く、空中で 体をひねりながら 閃光を交わす。
魔衣の体すれすれを 閃光が通り抜けた。
「ワハハッハ、さすがだな。見事サイレンサーショットを 交わすとは」
「お前達は 妖獣か!?」 「我らは、ケラビン兄弟だ!」
シバが驚いた顔で 「なに!シャイニング チェーンを使う、ケラビン兄弟か?」
「ほほう。我ら兄弟の必殺武器シャイニング チェーンを知っているとは?
ただの カラスではない様だな!」
「シバ、知ってるのコイツ達?」
「ああ!噂では死刑執行人と 恐れられる、兄弟だ!」
「魔衣、 ここは一旦引くのが一番じゃ」 「え!逃げるの?」
(ここで戦っては、奴らの思う壷だからな)(でも!)
「ふふふ、逃しはせんぞ。ここが妖獣ハンターの 墓場になるのさ」
「ハーッ」ケラビン兄の両手から、2個の サイレンサーショットが放たれる。
素早く全方向衝撃吸収シールドが張られた。”ドウン~ン・ドウン~ン”
魔依のシルードが サイレンサーショットを 跳ね返す。
「く!しゃらくさい。だが シールドは2度効かぬはず~!」
今度は弟から、サイレンサーショットが 発射された。
”ドウン~ン・ドコン~ン” 「う!なぜだ?」
魔衣が張ったシールドは、びくとも していなかった。
「ウッ!バカな シールドは2度続けて、効かぬはずだが?」
「ハハハ、ケラビン兄弟。魔衣を甘く 見すぎた様だな」
「何だと!」 想定外の事に 焦るケラビン兄弟
「魔衣は ワシの予想を遥かに 越るスピードで、成長している
このシールドは ニュータイプだ!」
[なるほど 噂以上の 小娘のようだな]
「そうか?それこそ伝説に出てくる妖獣ハンター、戦いがい があると 言うもんだ」
弟のブラビンが 「しかし、シールドの中では そちらも攻撃できまい?」
「そうかな?魔衣!撃て」 「ハイ」
魔衣のファイヤークロスビームが放たれた。”ドゴン~ン~” シールドを突き抜け、
ケラビン弟に命中。 ガハ~ 「そんな!バカな?」 ドーッと倒れこむケラビン。
「弟よ、大丈夫か?」 「ああ!クソ!殺してやる」
「待て!カラスの言う通りなら、慎重に 料理しないと 此方がヤケドする!」
「兄貴?」 「俺に任せろ 魔衣俺の アトミックバットを 受けて見ろ」
ドウシ~ュ~ン 魔衣を包み込む様に 放たれる 「こんな物!打ち砕いてやる!」
魔衣のG クラシャーが アトミックバットを砕く ゴワン~ン
「ほほう!やるな今のは小手調べだ」
自信たっぷりの ケラビンの 態度にシバは 「魔衣 油断するな!」
「ふふふ、俺達兄弟の 恐ろしさを今、たっぷり 見せてやる!」
サッと左右に分かれる、妖獣ケラビン兄弟。「まずい!魔衣、上空へ!」
ハーッ シバの言葉と 同時に 魔衣は 空高く舞い上がる
「逃がすか!」 続いてケラビン兄弟も、空高く舞い上がった。
魔衣は空中で回転しながら、フィンガークリッパーを 左右に発射した。
”ズキューン ズキューン” 魔衣の攻撃を 交わすケラビン兄弟
ケラビン兄弟もキラービームを放つ。途絶な 空中戦が繰り広げられた。
「ククク、これほどの パワーを 持つ人間がいるとは!弟、行くぞ!」
「おう!」 ス~と左右に分かれた。無気味な妖気が ビリビリと伝わって来る。
「フフフ 妖獣ハンターわれ等兄弟の 恐ろしさを知れ!」
兄弟から、シャイニングチェーンが発射された。 ”ドシュウ~ウ~”
「危ない!」 シバの言葉も 遅かった
「キャー」 魔衣の体をドス黒く光る チェーンが包み込む。
「く、苦し~い」 ジワジワと 魔依の体が 締め付けられていく。
「ふふふ、我らのチェーンから 逃れた者はいない!」
”ドス~ン” チェーンに包まれたまま、魔衣の体が深雪中に沈む。
「兄じゃ!とどめを刺すか」
「待て、うかつに近寄るな!小娘にしては 手強い相手だからな!」
魔衣は(体がシビレて力が出ないが!これは?そうか分かった
このチェーンは超音波の鎖なんだ!)
上空から、 「魔衣、大丈夫か!」 心配そうな、シバの声が聞こえた。
(大丈夫、この鎖が超音波なら、破る事が できるわ!)
(そんな事が出来るのか?)
シバの問いかけに、魔衣は自分の両手に 共鳴超音波を 発生させた。
”ブーン” 超音波同士が共鳴し合い、大きな振動となって 大地を揺るがす。
”ゴォゴォゴ~” 「うお~なんだ?この揺れは?」 [なんだ この振動は]
「これは!まさか?共鳴振動では?」
その時”グワシャーン” シャイニングチェーンが ぶち切れ、中から魔衣が現れた。
「おお!信じられん 無敵のシャイニングチェーンが」 驚く、妖獣ケラビン兄弟。
「妖獣ハンター 伝説の 噂以上の凄さだ!油断するな弟よ」
「いくよ!兄弟 今度は魔衣の秘密兵器、ギャラクシーストームを受けてみろ!」
「ハ~ッ」
両手を高く上げてクロスさせた途端、ギャラクシーストームが ケラビン兄弟を襲う。
”グエー グワー” 無数の光輝く ギャラクシーが、兄弟の体を 打ち抜いた。
「し、信じられん 我ら兄弟が こんな 小娘に、敗れるとは!!」
「グオー 凄い、凄すぎる。俺達は大変な 奴を相手にしてしまった!」
シバ 「だから、最初に警告したはず、魔衣は 成長しているとな!」
”ドシュ~ウウ” 妖獣ケラビン兄弟は 深雪中で消滅していった。
「ふーぅ、勝てるとは思えなかったけど?」 「いやー、凄い。ワシも初めて見たぞ」
「昨日、銀河系宇宙の夢を見たの。その時、何か光り輝く恒星が
見えたんだけ 覚えていないのよ?」
「ほほーう、銀河宇宙か?それは 新しいパワーかもしれんぞ!
魔衣の 新しい 武器ギャラクシーストームは いつの間に?」
「え~わかんない?銀河の光が 影響してるのかな?」
「ま!これで当分、神隠しは無いじゃろう!帰ろうか?」
「うん」
そんな魔衣とシバの様子を、山の尾根から
見ている 巨大な姿があった。[やるな 妖獣ハンターふふふ]
ニヤリとする 巨大な姿が 尾根から 消えていた。
第6話 完