ザ・影 中年管理職 松田 隆の 場合

大手食品会社の 係長 松田 隆 

来週の特売品を 卸問屋と交渉中で有った

「何とか この値段に ならないのかね?」 

業者の山田は

「係長勘弁してくださいよ」

「前回も 6掛けでキャベツ 納めましたよね!今回は無理ですよ リンゴは今年不作で」

「困ったな~バナナは 安くしても 売れないからな~ 何とか頼むよ山田君?」

「え~!」

卸し業者との 駆け引きに ストレスを 感じていた 松田係長 

「今日も 残業か」

「ふ~何とか来週の特売 決まったな さて帰るか」 

家に帰れば 子供二人と奥さんが居る

「待てよ 遅く成りついでだ いつもの店で 一杯ひっかけて飲むか?」 

スマホを取り出して奥さんに連絡を入れた

「俺 まだ残業中で遅くなるから!」 

ピッ  スマホ切った

ネオン街を 歩いて 馴染みの 酒とめし屋 おたふくに 入る

いらっしゃい~ 女将の声が響く

「ビール頼む それと何か おつまみを」

「あ~い ビールとおつまみ7番さんね」

松田はビールを 飲みながら 

「毎日嫌になるな~」

ビール3本飲んで疲れも有 かなり酔っていた

「女将さん帰るわ お勘定して」

店を出て ほろ酔い加減で 歩く松田の後ろから 街路灯が照らす

影が 松田の目に入った

「影か お前は何時も 俺と一緒だな 何かイイ事ないかな~俺の影よ?」

突然 影から 松田の耳に声が

「おい!明日競馬の皐月賞だろ 3-8の馬券を買ってみろ」

「なんだ~馬券の3-8だと 俺の影が言う?酔ってるのか 

俺は ワハハハ そんな馬鹿な!」

帰宅後 直ぐにベットで 爆睡していた

朝朝食中 スポーツ新聞に 競馬の皐月賞の記事と

競馬の予想が 乗っていた

本命は1-6と出ていた

「え~何だ違うじゃないか こりゃ当たらんな」

休日だから チョト出かけてくる 競馬場にバスで行き 

場内へ凄い人が来ていた

「さて馬券を買うか」

本命の

1-6を5千円

3-8を5千円買って席に着いた

パンパカパ~ンン いよいよスタートです 

アナウンスが 告げられ ゲートが上げられた

ウワ~大歓声が 皆馬券を握り締め 目が血走ってる

第4コーナから 3-8が 抜けて来た 

「オオ~来るぞ来るぞ!」

松田は 血圧が上がるのを感じた

そのままゴール

「やった~確かオッズは20倍 1千円付いたら 5百万だ!ヤったぜ ワハハハ」

有頂天の松田 隆 

「チッ もっと買えば よかったなクソ!まあ女房には 内緒だな」   

だがその時 場内アナウンスが 

3番の馬が進路妨害で 失格1-8が 繰り上げ当確になった

「そ、そんな !馬鹿な~ちくしょう!」

馬券を放り上げて 怒る松田 ふと 自分の影を見た

その影は 松田に向かって ニャリと薄笑いを浮かべて言った 

「自分の影を信じて 最初から3-8を買えばね 

余計な欲をかいたから この結果だよ」

信じる事 そして一度決めたら ブレナイ事が 大切ですね

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